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楽一入の「赤楽菊皿」(17世紀) [樂]

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今回からプログのタイトルを「向付の世界」に戻して
改めて、向付を中心とした食の器について書くことにしました。
過去の記事についても、少しずつ書き直して行こうと思っています。

そんなわけで、リニューアル第一回は
楽一入の「赤楽菊皿」を紹介いたします。

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楽一入(1640~1696)は四代樂吉左衛門。
わずか16歳(数え17歳)で家督を継ぎ、作陶を始めています。
なのでおそらくこの菊皿は17世紀半ば、350年くらい前に作られたもの。
樂の器は壊れやすいので、よく無事に残っていたと思います。

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菊皿は樂吉左衛門家の食器(皿、鉢、向付)の中では
二代常慶(1576~1635)の時から作られていた最も古いデザイン。
そしてこの一入の16弁の菊花の形が
後の樂の菊皿のスタンダードになったと考えられています。

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碁笥底のように浅く削った底面の中央に、一入の楽印があります。
茶碗と同じ印を用いているというところからも
こうした食器がひとつひとつ丹念に作られていたということがわかります。
350年を経ても色褪せない、見事な器です。

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再興九谷の「菊花文菊花形向付」(19世紀) [再興九谷]

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今回は再興九谷の「菊花文菊花形向付」を紹介します。
おそらく古九谷様式の変形皿に倣って作られたものだと思いますが
三輪の菊花をあしらった個性的なデザインの向付です。

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文化4年(1807)に青木木米を金沢に招聘して始まった再興九谷は
青手古九谷の再現に取り組んだ「吉田屋窯」
細密描写の赤絵を得意とする「宮本窯」などを経て
技術が進化し、様々な色彩の絵の具を用いるようになります。

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赤を使わず紫、緑、紺青、黄色を用いる青手古九谷の配色を基調としながら
黄緑や水色も加えることでよりカラフルになっています。
こうした新しい色を使うようになったのは、再興九谷でも後期のこと。

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裏面には「角福」の銘があります。
明治に入ると輸出用の磁器が増え「九谷」の銘が一般的になるので
おそらく幕末の頃に作られたものと思います。
派手に見えて、盛るとしっかり料理が映える器です。

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春日山窯の「色絵椿文小皿」(19世紀) [再興九谷]

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10ヶ月ぶりの更新です。長らくお待たせしてすみませんでした。
今回は九谷・春日山窯の「色絵椿文小皿」を紹介します。
(以前に紹介した「椿文皿」よりひと回り小さいサイズの皿です)

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春日山窯は、九谷古窯が閉ざされてから100余り経った文化4年(1807)に
京都の名工・青木木米が、金沢の春日山(現在の金沢市山の上町)で
瓦を焼くための窯を改良して製陶を始めたとされる窯。

当時、加賀藩民は年に数十万枚もの陶磁器(日用雑器)を肥前や京都から買っており
これが藩の財政を圧迫する大きな要因となっていたため
金沢で製陶をするということが藩にとって喫緊の課題でした。
そこで、高い技術を持つ青木木米を京都から招聘したと考えられています。

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青木木米はその期待に応えて、呉須赤絵写しを中心に
交趾写しや染付などさまざまな技法で、鉢・皿・向付・徳利などを焼きました。
この「色絵椿文小皿」はその代表作のひとつ。
純白に近い精製された素地に、紫、黄、緑、紺青の四色で椿の花と葉が描かれています。
赤色を使わないのは青手九谷の伝統に倣ったもの。
垢抜けたデザインは、17世紀半ばの松ケ谷手の椿文皿を参考にしたものと思います。

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裏面には赤い文字で「金城製」と記されています。
これはおそらく「金沢城下で焼かれた」という意味でしょう。

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「石川県立美術館」に同手の皿が所蔵されており
やはり「金城製」のサインがあります。

青木木米がわずか2年弱の滞在で金沢を去ったことで
春日山窯は衰え、文政の初め(1820年頃)に廃窯となってしまいます。
なので残された作品も少なく、九谷焼にあって地味な存在ではあるのですが
「吉田屋窯」「宮本窯」「松山窯」へと連なる再興九谷の嚆矢として
もっと高く評価されるべきだと思っています。

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十一月の器 [その他]

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十一月の器は平澤九朗の「織部角鉢」。
料理は「鯛の頭付焼」。

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平澤九朗(1772〜1840)は江戸後期の尾張藩士にして数寄者。
有楽流の茶を嗜み、今昔庵という庵号の茶室を造り
余暇に、茶碗、茶入、花入、向付、鉢などの茶道具を焼きました。
つまり、プロの陶工ではないのですが、技工のレベルは高く
志野、織部、黑織部、黄瀬戸、唐津の茶陶の写しを数多く手がけています。

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この「織部角鉢」には“吊るし柿文”が描かれており、
おそらく実際にあった桃山時代の織部鉢の写しだと思われます。
この文様が本当に吊るし柿を表しているのかというと
実際のところはよくわかっていないのですが
古田織部の生まれ故郷が柿の生産地であることから
そう考えられているようです。

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共箱には「織戸角鉢」と記されています。
同時代の名工・加藤春岱の手を借りていたという説はあるものの
武士がここまでの器を焼くというのは驚異的なこと。
料理を盛った時の美しさは、本歌に迫るものがあります。

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九月の器 [古九谷]

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九月の器は古九谷様式の「色絵柘榴文輪花皿」。
料理は「子持鮎 烏賊風干」。

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古九谷様式とは、17世紀半ば(1640〜60年代)に
作られた、初期の色絵磁器の総称です。
かつては加賀の九谷で焼かれたと考えられていたため
「古九谷」と呼ばれていましたが
今は有田(伊万里)で作っていたというのが定説となっています。

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古九谷様式の特徴は、色絵の発色が渋いこと。
緑・黄・紫・紺青・赤の“五彩”の色絵の具を使っていますが
後の柿右衛門様式のような華やかさはなく
ややダークな色調で、それが独特の存在感を生んでいます。

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裏の側面には「折松葉文」が緑と赤の色絵で描かれ、
高台の中心には「二重角福」の銘があります。
古九谷様式の皿はファンが多く、かなり高価で取引きされていますが
それだけの魅力がある器だと思います。

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八月の器 [ガラス]

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八月の器はフランス「サンルイ」の「金彩ガラスプレート」。
料理は「賀茂茄子、隠元の胡麻和え」。

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「サン・ルイ(Saint Louis)」はフランス最古のガラスメーカー。
1767年に、ルイ15世がルイ9世(Saint Louis)の名を冠して
「サンルイ 王室ガラス工場」と名付け
1788年にフランスで初めて鉛入りクリスタルガラスの製造に成功した
‥という、由緒正しきガラス工房です。

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この金彩プレートは1890〜1900年頃に作られたもの。
サンルイのクリスタルガラスは透明度が高く、
金彩にも上質な金が使われているため、気品があり
和食の器として用いても違和感がありません。

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日本人はブランドに弱いということもあって
お茶事や懐石料理では金縁の入ったバカラの器をよく見かけるのですが、
同じ金彩ガラスでも、料理にはこうした控えめな器が合うと思います。

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六月の器 [乾山]

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六月の器は、尾形乾山の「銹絵染付白彩桐菊文 角向付」。
料理は口取「鯵寿し、鰻八幡巻、鱧の子寒天寄せ、川海老、一寸豆甘煮」。

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「銹絵染付白彩桐菊文 角向付」は、
乾山の鳴滝窯時代(元禄~正徳年間)の作品。

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型打ち成型で、型紙摺りという手法を用い
錆絵と染付で桐文を、白彩で菊を描いています。
“桐菊文”は高台寺蒔絵にもある意匠ですが
それを軽やかなタッチで表現しているのが面白いところ。

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裏面に記された「乾山」の銘も手描きや印刻ではなく型紙摺りで
これも当時としては斬新な試みでした。
300年前の作品とは思えない、モダンなセンスを感じる器です。

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四月の器 [古染付、呉須赤絵]

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四月の器は、古染付の「雲鶴文五寸皿」。
料理は「豆腐木の芽田楽」。

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古染付とは、中国明時代末期の天啓年間から崇禎年間(1621〜1644年)にかけて,
江西省の景徳鎮民窯で焼造された染付磁器のこと。
その多くは日本の茶人からの注文によって造られたとされ、
やや暗めの発色の呉須が使われているのが特徴。

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古染付の魅力は絵付けの大胆さ。
飄逸、軽妙洒脱、洒洒落落‥いろんな表現がされますが、
わかりやすく言えば、ヘタウマ。
この雲鶴文なんて、よく見ないと雲と鶴の見分けがつかない。
でも、それがいいんです。
口縁の片側にだけ五弁の花が描かれているのも、なんともお洒落。
この器を注文した四百年前の茶人のセンスは凄い、と思います。

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三月の器 [永楽]

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三月の器は、永楽善五郎家十四代・得全の「染付吹墨栄螺向付」。
料理は酢物。「赤貝、とり貝、若葱のからし酢味噌」。

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貝の中でも栄螺や蛤の形を模した器は早春の器として用いられます。
こうした吹墨(呉須を霧状にして素地に付着させる技法)が施された器のオリジナルは
中国明時代の古染付で、これは永楽得全によるその写しです。

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本来は向付として作られたものですが、
見込みが深いので、酢物や焚合にも使える汎用性の広い器です。

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二月の器 [樂]

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二月の器は、楽吉左衛門家九代・了入の「青楽四方皿」。
料理は焚合。「聖護院大根、合鴨ロース、壬生菜」。

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こうした正方形の四方皿は、節分の豆まきの枡に見立てて、
懐石料理では二月の器として用いられます。

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表は一切の装飾はなく、すっきりと仕上げられていますが、
裏面に箆使いを得意とした了入らしい独特の箆目と楽印(中印)があり
それが器の見所になっています。

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